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事業概要

弊社では千葉県印旛郡酒々井町伊篠、伊篠新田、今倉新田地区にある約43haの里山において自然環境保全と地域経済活性化の両立を目指す"里山バンク"を運営しています。

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​事業の目的

我が国の生物多様性の重要な基盤である里山生態系、即ち、谷津田や湿地などの水系と斜面林や草原などの陸域が一体となったエリア、あるいは自然生態系と農地や林地などの二次的自然生態系が一体となったエリアは減少あるいは劣化し続けています。
この課題に対して、当事業は、東京都市大学環境学部教授の田中章氏が提唱している「里山バンク」の日本第一号として同氏のアドバイスの下、複合的な里山生態系をまとまった土地として持続的に保全(復元、創造、維持、利用)しています。これらの里山生態系保全を持続的なものとするため、里山生態系を活かした自社事業(エコツーリズム、休耕田の再耕起による稲作等)、行政の各種補助金施策、企業や学校やNPOの活動などを地域連携によって一か所に集結させ、南関東地域の里山生態系の生態展示の場として、自然保全の新しい産業の分化と深化を誘導し、結果として地域経済の活性化を期待するものであります。

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図:里山バンクの概念図
​出典:田中章(2022)

地域の概況

 事業を実施する地域は千葉県印旛郡酒々井町伊篠、今倉新田、伊篠新田地区の43haの里山地域です。東は富里市、北は成田市と隣接しています。当地域は東関東自動車道酒々井IC及び富里ICから10分以内、成田国際空港から30分以内の場所に立地しており、当地域は里山地域ではあるものの海外からインバウンドを含め比較的交通の便が良いことが利点です。
 隣接する成田市と富里市からは市街化が進行していて、当地域は成田都市圏におけるスプロールの前線であるといえます。

 当地域においては1990年代にゴルフ場開発や土地区画整理によりオーバーユースによりその環境を失う危機に瀕しましたが、バブル崩壊等の時勢の影響でこれらの計画が凍結されたため物理的環境は残されることになりました。
 しかし、当地域の山林は主にスギ・ヒノキ植林地は現在管理がなされていない上に過去に植栽された山武杉が非赤枯性溝腐病に罹患することで幹の強度が低下し、風害により幹が折れ荒廃しています。また、モウソウチク・マダケ林は放置による高密度化と風倒等により荒廃が進んでいます。低地はかつて水田や萱場として利用されていました(農研機構,2019)が、産業構造の変化と世代交代により放置され、湿性遷移で陸地化し“やぶ”化しています。このように当地域の里山生態系は典型的なアンダーユース(利用されない)の問題により劣化が進んでいるといえます。
 以上のことから、この地域の里山生態系を南関東地域に昔あった典型的な里山として生態展示の場とすることは、生態学的、文化的、社会的に大きな意義があります。

整備計画

 最初の整備事業は30年以上放棄された斜面林及び水田の草刈りから始まり、道が開け次第折損する可能性の高い山武杉の伐採、落葉広葉樹の植樹を10年かけて実施します。その後最低40年間は草刈りをはじめとした維持管理を行っていく予定です。

​整備前(風倒木により里道が封鎖されていた)

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​整備後(風倒木の除去、草刈りにより通行が容易に)

運営計画

 我が国において生物多様性オフセット・バンキングは制度化されておらず、生物多様性バンクと同じ方法では保全活動に必要な費用を賄うことが出来ません。そこで、里山バンクでは様々な補助金制度や自然環境に過大な負荷をかけない範囲で収益事業を実施し、保全活動費を確保することを想定しています。

​ そこで、椿里山バンクでは「里山エコツーリズム」、「生物多様性配慮型農業の実践」「自主的な生物多様性オフセットの受け入れ(生物多様性クレジットの発行)」を主軸に保全活動費を確保する予定です。

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